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キタオン

2014年05月号 vol.5

春うららうららうらうらら

2014年05月27日 11:15 by koeru
2014年05月27日 11:15 by koeru

僕の家の前には工場がある。

工場の北側はいつも日陰になっていて、雪が溶けるのが毎年遅い。

周りはとっくに春全開になっていても、その工場の前だけに今年も雪が影に沿い残っていた。

いつなくなるんだべか

そんな想いを抱え、僕は毎朝起きて見守ることにした。

1日、1日、また1日。

少しずつ残っている雪も消えて行き、最後にぽつんと残った雪の塊を見たのが最後。

次の日からそのことをすっかり忘れ、肝心な最期を見届けることはできなかった。

いったい何の為に見てきたのか。

春が我が心を溶かしたのか、そう、どうでもいいことだった。

 

 

僕は歯医者に通っている。

検索で良さげなクリニックを見つけたのが昨年の10月くらいだから、もう半年以上通っている。

最近の歯医者は人を通わせ続けるテクニックがある。

啄木鳥のように首を縦に振ることにこ慣れた日本社会に於いて、デンタルドクター略してデンタリスト(注・造語デス)のおっさることを鵜呑みにしていると1年は通うことになる。

 違う目的で通っても最期は何故か虫歯の治療をすることになる。

人それぞれ歯の性質が違う。僕は虫歯になり易い。エナメル質が弱いのだ、きっと。

そして治療is winding road。

1本、1本、また1本。

少しずつ残っている虫歯が消えて行き、最後にぽつんと右奥歯の虫歯だけが残っている。

あと1回通ってこれが治ったらどうなるのだろう。

そもそもいったい何の為に通っていたのか。

まあそんなことはどうでもいいことだった。

 

 

僕は歯医者に通っている。

2。

つづく↓

 

 

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